Goals

明快さは深い思想を飾る。

– Luc de Clapiers

反復ゴールの概要

反復ゴール、アジャイルチームとプロダクトオーナー間で合意が取れた、反復中で達成するビジネスと技術ゴールに関する高いレベルでのまとめである。SAFeでは、アジャイルリリース列車(複数の自己組織化、自己管理のチームからなるチーム)における効果的な連携に、反復ゴールが欠かせない。反復ゴールは以下のことに役に立つ

  • 反復の共通使命にチームメンバーとプロダクトオーナーのベクトル合わせをする
  • プログラムPI目標に複数のチームのベクトル合わせをし、理解のためのコンテキストを提供し、チーム間の依存関係に対処する
  • チーム、上役、ビジネス責任者間のシンプルなコミュニケーションプロトコルとなり、上役に継続的に仕掛かり作業について知らせることができる

チームがスクラムを適用するであろう、カンバンを適用するであろう、反復ゴールにより、プログラム利害関係者、上役、アジャイルチームが共通の言語を持つことができる。プログラムインクリメント(PI)実行中に、反復ゴールを用いて、ベクトル合わせを維持したり、依存関係を管理したり、必要な調整を行う。

詳細

反復計画で説明したように、計画プロセスでは3つの成果物を作成する。

  1. The 反復バックログ:反復に確約したストーリーからなる
  2. 図1で示すような反復ゴールに関する文言
  3. ゴールを達成するために必要な作業に関するアジャイルチームの確約
Figure 1. Sample iteration goals
図1. 反復ゴールの例

多くの場合、反復ゴールには以下が反映されている。

  • フィーチャー:調査、必要なインフラなどのフィーチャースライスやフィーチャーの側面
  • ビジネスや技術マイルストーン
  • アーキテクチャー、技術やインフラに関する労力
  • 日常の作業Routine jobs
  • 維持管理、ドキュメント作成などの他の確約

バックログ項目を完成すると反復ゴールが達成される。しかし、反復のゴールを満たすために、ストーリーを全部完成する必要はない。言い換えれば、反復のゴールは個別のストーリーより優先され、反復ゴールを達成するために、時々予想されなかったストーリーを追加しなければならない場合さえある。

なぜ反復ゴール?

スクラムとSAFeでは、反復ゴールが必須である。(スクラムではスプリントゴールと呼ぶ)。アジャイルチームは、ユーザーストーリーを介して作業を行う。これらのユーザーストーリーは、1つの反復内で完了させられるよう十分に小さくする必要がある。アジャイルに行うにはユーザー価値をテスト可能な小さい縦のユーザーストーリーに分解することが欠かせないが、「木を見て森を見る」のは難しい。アジャイルリリース列車 (ART)で、各反復でチームが何を完成していくのかに関してより大きな全体像を理解し、維持するため、また、次のシステムデモで何をデモするかを理解することに対し、反復ゴールは役に立つ。反復ゴールはSAFeの4つの中心的価値のうち、透明性、ベクトル合わせ、プログラム実行の3つの基礎となる。
単に反復でのストーリーの完了に確約するだけでは不十分であり、各反復のビジネス価値を継続的に検討する必要がある。また、その価値をビジネス用語でビジネス責任者、上役と他の利害関係者に伝達できるようにしなければならない。
反復ゴールは、以下に説明するように、3つの側面で価値がある。これはチームとARTの連携を維持し、共通目的と使命に継続的に確約するための包括なアプローチを構成する。

共通の目的に対してアジャイルチームメンバーのベクトル合わせをする

反復の実行は高速で勢いのあるプロセスで、2週間がすぐ過ぎていく。図2に示すように、チームとプロダクトオーナーの間での納品しようとするビジネス価値に関する初期の合意に、チームプログラム目標のベクトル合わせに、チームが合意した目的を達成することに、反復ゴールが役に立つ。

Figure 2. Iteration goals help align the team
図2. 反復ゴールにより、チームのベクトル合わせをする

プログラムチームを共通PI目標にベクトル合わせをし、依存関係を管理する

SAFeのチームは俊敏性のある島ではない。そうではなく、より大きなプログラムレベルのコンテキストと目的の中の欠かせない一部である。従って、チームはプログラムPI目標に確実にベクトル合わせをするため、他のチームやリリース列車エンジニア(RTE)に、次の反復の意図を連絡しなければならない。また、図3に示すように、各チームの反復ゴールは依存関係の発見と解決に必要なコンテキストとなる。

Figure 3. Iteration goals align teams to PI objectives and to each other, and help identify dependencies
図3. 反復ゴールはチーム間や、チームのPI目標へのベクトル合わせ、及び依存関係の管理に役に立つ

継続的に上役向けの情報を提供する

リーンかつアジャイルでありながら、プログラムレベルへスケールアップできるかどうかは、自己管理および自己組織化するアジャイルチームを構築できるかどうかで決まる。このようなチームは、上役の禁止令や監督がほとんど必要ないものであるべきである。このように、マネージャーは「上から下へ」ではなく、「下から上へ」および「横に」管理することができるので、権限が委譲された、学習型の組織が構築できる。この組織では、上役はより多くの責務を果たし、自分が持っている組織スキルを利用して、障害を排除し、組織的な改善を促進することができる。上役は開発組織の効率性と価値の納品に責任を持っているので、チームが何をしているか、なぜそれをするかを理解するために、自分の責務を放置できないし、してはいけない。このため、図4に示すように、列車の反復ゴールを集約することによって、何を行うかを2週間ごとにシンプルにテキストでまとめたものができあがる。

Figure 4. Iteration goals provide visibility and communication with management
図4. 反復ゴールは上役向けに可視化とコミュニケーションを提供する

 


さらに知りたい場合

[1] Leffingwell, Dean. Agile Software Requirements: Lean Requirements Practices for Teams, Programs, and the Enterprise. Addison-Wesley, 2011.(邦訳:アジャイルソフトウェア要求:チーム、プログラム、企業のためのリーンな要求プラクティス、翔泳社、2014)

Last update 14 October 2015