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長期的に成功したいなら中期に注力しろ。

- Geoffrey Moore

ポートフォリオレベルの概要

SAFeのポートフォリオは、SAFeの最上位の関心事である。ポートフォリオを基本構成要素として、リーン-アジャイルな企業が価値のフローを中心に組織化され、価値のフローをもたらす価値のストリームそれぞれによって戦略意図を達成するのに必要なシステムやソリューションが開発される。ポートフォリオレベルは、これらの要素をカプセル化するものであり、さらに、企業が戦略目標を達成するのに必要な利益が価値のストリームへの投資によって確実にもたらされると保証するために必要な予算やその他のガバナンスの基本メカニズムともなる。

ポートフォリオはビジネスと双方向の関係にある。1つの方向では、より大きな変化するビジネス目標へとポートフォリオを導く戦略テーマが供給される。逆の方向では、ポートフォリオコンテキストの承諾のフローが企業へと返される。これによって、現在のソリューションセットの状態や、重要業績評価指標、ポートフォリオに影響するその他のビジネス要因などが企業に知らされる。プログラムポートフォリオ管理は、ビジネスの成果をもたらすことに責任を負う利害関係者の代表である。その他にも重要な役割や作業や成果物が揃って全体像が完成する。

大企業では複数のポートフォリオが存在する可能性がある。このページでは、SAFeポートフォリオの基本的な仕組みについて概要を説明する。

詳細

SAFeのポートフォリオレベルには、企業が戦略目標を達成するのになくてはならないシステムやソリューションを構築するために必要な人やプロセスがカプセル化されている。ポートフォリオの最も重要な要素は価値のストリーム(複数の場合もある)であり、そのそれぞれが、価値をもたらすソリューションを構築するのに必要な人などのリソースのための資金を提供する。それぞれの価値のストリームは、システムを構築し配置するための定義、開発、配置という長期にわたる一連のステップであり、これによって、会社や顧客に対して継続的な価値のフローがもたらされる。

主要概念

企業との関係

ポートフォリオは企業と双方向の関係にある。戦略テーマは具体的な箇条書きのビジネス目標であり、これによって、進化するエンタープライズビジネス戦略にポートフォリオoが結び付けられる。戦略テーマは、ポートフォリオ内の意思決定のビジネスコンテキストとなり、価値のストリームへの投資に影響を及ぼす。また、ポートフォリオ、ソリューション、プログラムバックログoの入力にもなる。ただし、戦略テーマはビジネス側だけで作成するものではない。主要ポートフォリオ利害関係者もそのプロセスに参加し、戦略策定で重要な役割を果たす。

反対向きの、ポートフォリオから企業への矢印は、ポートフォリオコンテキストについての企業への継続的なフィードバックを示している。これには、重要業績評価指標(KPI)や、現在のソリューションが市場の目的に合っているかの定性的評価、ポートフォリオレベルで存在する強み/弱み/機会/脅威などが含まれる。

プログラムポートフォリオ管理

ポートフォリオレベルの作業とポートフォリオ投資のガバナンスはプログラムポートフォリオ管理(PPM)が行う。PPMは、フレームワーク内の最上位の受託者(投資と利益)であり、内容の権限者(何を構築するか)である。ここで戦略と投資財源、プログラム管理、およびガバナンスに責任を持つのは、エンタープライズビジネス戦略と技術と財務上の制約を理解し、ポートフォリオソリューション戦略を定義して実施する、ビジネス管理者および役員である。これらの人々は、通常、その責任を遂行する際にプログラムマネジメントオフィス(PMO)の協力を得る。PMOはプログラムの実行とガバナンスを導くという責任を共有する。

PPMの主な責任の1つに、価値のストリームへの投資財源の割り当てがある。予算は、プロジェクトを超えた原価計算というリーン-アジャイルな予算編成方法で決められ管理される。この方法を使用することで、適切な受託管理を伴った、権限のあるすばやい意思決定を行うことができる。パイの形の絵のそれぞれの「区画」は、特定の価値のストリームの予算を表す。一般に、価値のストリームの管理者は、その予算割り当ての範囲内で、最も経済的かつビジネス的に妥当な方法で、ソリューションを開発する権限を持つ。企業はこのプロセスにより、合意済みの優先順位の高いビジネスへの投資を推し進めることで、受託者責任を遂行する。

ポートフォリオエピックのフローの管理

ポートフォリオレベルのもう1つの責任は、ビジネスで必要とされるけれども横断的な性質を持つ主要な取り組みの発見、定義、管理である。ビジネスエピックは、複数の価値のストリームで協力しないと達成できない新しいビジネスシステム能力を表す。エピックイネイブラーは、新しいシステム能力を実現するのに必要なアーキテクチャーやその他の技術的な取り組みを表す。

この作業のフローを管理し、すべての利害関係者向けに可視化できるよう、SAFeではポートフォリオカンバンシステムを用意している。このカンバンシステムによって、作業が可視化され、価値のストリームの実際の処理能力に応じて要望を検討するための仕掛かり作業制限を使用できるようになる。

ポートフォリオバックログは、フレームワーク内の最上位のバックログであり、カンバンシステムを通り抜けて実装を待っているエピックの保管領域となる。ここには、市場での差別化や、効率的な運用、より良い統合ソリューションをポートフォリオが達成するために必要な、承認と優先順位付けの済んだエピックが含められる。エピックオーナーは、少なくとも実装されることが決まるまでは、エピックの管理に責任を持つ。

エンタープライズアーキテクトにもポートフォリオに関する重要な責務がある。この役割は、価値のストリームやプログラムをまたがって作業するのに欠かせない知識を持ち、ポートフォリオの成果を最適化するのに役立つ戦略的技術指示を出すのを助ける。この戦略には、開発と納品の技術スタック、ソリューションの相互運用性、API、ホスト戦略などを調和させるエピックイネイブラーの提案が含まれる。エンタープライズアーキテクトがイネイブラーエピックのエピックオーナーになることも多い。

 


さらに知りたい場合

[1] Leffingwell, Dean. Agile Software Requirements: Lean Requirements Practices for Teams, Programs, and the Portfolio. Addison-Wesley, 2011.(邦訳:アジャイルソフトウェア要求:チーム、プログラム、企業のためのリーンな要求プラクティス、翔泳社、2014)

Last update: 25 October 2015