SAFeのリーン-アジャイルの原則

システムレベルの設計とサブシステムの概念について代替案を作成するべきである。これまでうまくいったものを選ぶのではなく、積極的に代替案を除去していく。残った設計がもっとも頑健な選択肢である。

─アレン・C・ウォード, Lean Product and Process Development(『リーン製品開発方式 : トヨタが実践する価値創造の確かな進め方』)

第3原則─バラツキを認め、複数の選択肢を残す

システム構築時には、つい、バラツキを減らしてしまいがちである。多くの事柄が判明して決定済みになったと考えると、先に進んだような気がする。しかし、常にそうであるとは限らない。

バラツキが悪い結果につながることがあるのは本当だが、逆もまたあり得る。バラツキ自体が良い悪いと決められるものではない。そうではなく、タイミングやバラツキの種類による経済性に応じて結果が変わる。早すぎる段階でバラツキを消すことに集中すると、リスク回避の文化が定着してしまい、間違いを犯したり、何がうまくいって何がうまくいかないかを学ぶ体験をしたりすることができなくなる。

リーンなシステム構築者は、プロジェクトの開始時には、システムの意図に関する一般的な事柄以外に、実際に分かっていることはほとんどないと認識している。分かっているならもう構築できているはずである。しかし、従来型の設計プラクティスでは、開発者はさっさと1つの選択肢(潜在的な解決空間の中の1点)に集中し、その後で、最終的にシステムの意図を満たすまで設計を変更するよう強いられることが多い。これは効果的な方法だが、それはもちろん選んだ出発点が間違っていないことが前提であり、間違った場合には、そのソリューションを洗練するための後の反復に非常に時間がかかるだろうし、最適な設計にはならない[1]。そして、規模が大きく革新的な技術を使用するシステムであるほど、出発点が最適でない可能性は高くなる。

それよりも優れた方法を次の図に示す。これは「セットベースの設計」または「セットベースのコンカレントエンジニアリング」[2]と呼ばれるものである。

 

セットベースの設計

この方法では、開始時に複数の設計の選択肢を検討して、幅広い手段を講じておく。その後、経済および技術面でのトレードオフを継続的に評価する(これは通常、統合学習ポイントで判明する客観的証拠として現れる)。その後、あまり適切でない選択肢を徐々に取り除き、最終的に、その時点までに得られた知識をもとに、1つの設計に収束させる。

このプロセスでは、設計の選択肢ができるだけ長く候補として残され、必要になってから収束するため、より最適な技術的/経済的成果が得られる。


さらに知りたい場合

[1] Iansiti, Marco.“Shooting the Rapids:Managing Product Development in Turbulent Environments.”California Management Review 38 (1995):37–58.

Last update:11 May 2015