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地獄にいれば流される一方だが、 天国にいれば舵取りができる。

– ジョージ・バーナード・ショー

エピックオーナーの概要

SAFeにおいて、企業の経済的価値の多くはエピックによって高められる。エピックは重要な取り組みのコンテナであり、これらの重要な取り組みは大きくて、通常横断的であり、複数の価値のストリームとアジャイルリリース列車(ART)にまたがる。エピックは集中的に投資され、影響範囲も広範であるため、エピックの記述や、コスト、影響度、機会に対する分析は一大事である。そのため、実装に入る前に、軽量的なビジネス企画や財政上の承認が必要となる。

このように、エピックの実装は至難の業である。影響するリリース列車のバックログに入れるように、エピックをより小さな塊(価値のストリーム、プログラムエピックやシステム機能、フィーチャー等)に分割しなければならないからである。これに対処するために、エピックオーナーという役割を導入し、この役割は、ポートフォリオカンバンシステムを通じてポートフォリオエピックを管理し、ビジネス企画を作成する。また承認された後に、影響されたリリース列車の主要な利害関係者と一緒に作業し、実装の実現を手伝う。

詳細

役割の説明概要

エピックオーナーは、個々のエピックの識別から、分析プロセスとポートフォリオカンバンシステムを通じ、プログラムポートフォリオ管理の「ゴー/ストップ」の意思決定プロセスまで責任を持つ。実装段階にエピックが受け入れられた場合、 エピックオーナーはアジャイルリリース列車、開発チーム及びプロダクト管理と一緒に作業し、エピックのビジネス恩恵を実現するために必要な開発活動を開始する。順調に開始した後も、エピックオーナーは管理と後続作業の責務を継続的に追う場合がある。しかしおそらくは、エピックを定義するフィーチャーやシステム能力は、ソリューションに組込みため、最終的にプログラムバックログに入れられる(エピックの分割について、ビジネスエピックイネイブラーエピックをご参照)ので、エピックオーナーは他の職務に戻ることができるし、他の現れたエピックに関する責任を持つことができる。その後、ARTが新しい要素を含むソリューションの提供に全責任を持つため、実装は当然行われていると想定することができる。

SAFeにおけるエピックオーナーの役割は役職ではなく、個人が担う責務である。この役割はプログラム管理者プロダクト管理者、プロジェクト管理者、 エンタープライズアーキテクト価値のストリームや、さらにプログラムレベルのアーキテクトやエンジニア、ビジネス分析者、またはこの責務に向いたその他のプログラム利害関係者が担うことができる。一般的に、1人のエピックオーナーは一度に1~2エピックにしか対応できない。これらのエピックはちょうど彼らの専門領域と現在のビジネス使命の範囲に含まれる。

責務

以下の段落ではエピックオーナーの責務の概要を説明する。

承認前:エピックの準備

エピックオーナーの責務はエピックのライフサイクルの早期に開始する:

  • 利害関係者や特定分野の専門家と一緒に作業し、エピックや潜在的な恩恵を定義し、遅延のコストを確立し、ビジネススポンサーを識別する
  • 開発チームと一緒に作業し、エピックの規模を調整し、WSJFに基づく経済的優先順位付けにインプットを提供する
  • エピックの成功基準を定義する
  • ポートフォリオカンバンシステムを通じてエピックを管理し、軽量ビジネス企画を作成する(参考文献 [1])
  • プログラムポートフォリオ管理により、「ゴー/ストップ」の判断ができるように、ビジネス企画の発表を準備する

エピックの発表

プログラムポートフォリオ管理にエピックのメリットを説明するのはエピックオーナーの主要な責務である。しかしながら、大半のソフトウェア企業が自分の容量をはるかに超える機会を持っているため、エピックの承認は保証されるべきできない。従って、効果的な選別プロセスが市場の勝者と敗者を決めることになる。これは、分析を担当する人が感情的になって投資をしすぎないよう、ビジネス企画を軽量にしなければならない多くの理由の1つである。特定のことに関する潜在的なエピックは、他にもっと有利な機会が生じたら、拒絶することができるし、拒絶するべきである(参考文献 [1])。

承認後:実装

エピックが承認された後に、実装作業が始まる。

  • プロダクト管理やソリューション管理と一緒に作業し、エピックを価値のストリームやプログラムエピックやフィーチャーに分割し、各バックログにおける優先順位を付ける。
  • 目標とするフィーチャーのエピックコンテキストについて、リリース列車にガイダンスを提供する。
  • PI計画策定システムデモ及び ソリューションデモなど、エピックに関する重要な活動があれば参加する
  • 調査スパイクの実施、概念の立証、モックアップ作成などを行うアジャイルチームと一緒に作業する
  • 販売、マーケティング及び他の事業単位とエピック関連の活動を協調し、同期を取る
  • エピックの進捗を把握し、主要な利害関係者に報告する

エピックオーナーという役割の協調的な性質

エピックオーナーが効果的に働くには、アジャイル企業内の他のグループと緊密に協力しなければならない。それによって、高いレベルの取り組みが組織のトップから実装まで降りてくる組織で生まれがちなギャップを埋めることができる。この協力に加わる主要な役割を図1に示す。

Figure 1. The collaborative nature of the Epic Owner role
図1.図1.役割間の協力は効果的なエピックオーナーシップの基礎となる

主要な利害関係者との緊密な作業を通じ、全体的なビジョン、適切な経済的優先順位付けおよびエピック駆動フィーチャーの一貫性が確保できる。


さらに知りたい場合

[1] Leffingwell, Dean. Agile Software Requirements: Lean Requirements Practices for Teams, Programs, and the Enterprise. Addison-Wesley, 2011.(邦訳:アジャイルソフトウェア要求:チーム、プログラム、企業のためのリーンな要求プラクティス、翔泳社、2014)

Last update: 20 October 2015