Lean-Agile Leaders

リーダーとは、その道を知り、その道を行き、そしてその道を見せられる人である。

– ジョン・マクスウェル

リーン-アジャイルリーダーの概要

SAFeの考え方は単純である。リーン-アジャイルな開発を導入し成功させ継続的に改善する最終責任は、もともと企業にいる管理者やリーダーや役員が、チームのイネイブラーとして担う、というものである。彼らだけが、皆の作業の場となるシステムを変更し、継続的に改善することができる。そのためにはリーダーが、リーンな考え方や働き方の教育を受け、そして教育する側に回らなければならない。多くは、新しいスタイルのリーダーシップを示さなければならない。個人やチームが潜在能力を最大限に発揮できるよう、本当の意味で教え導き、権限委譲し、実行させるリーダーシップである。

このような管理の役割や肩書きの中には具体的にビッグピクチャーに登場しないものもあるが、企業が使命を達成するのに必要な、人、リソース、管理、指示、サポートを提供するという、非常に重要な機能を果たす。このページでは、このリーン-アジャイルなリーダーの原則について説明する。

詳細

SAFeのリーン-アジャイルなリーダーは、学習と指導を一生続ける人たちであり、リーン-アジャイルの考え方SAFeの原則やシステム思考を理解して示すことで、チームがよりよいシステムを構築する手助けをする。リーン-アジャイルなリーダーは、次のような振る舞いをする。

1 – 変化を先導する

リーン-アジャイルな振る舞い、習慣、結果へと組織の舵を切る作業は委譲できない。そうではなく、リーン-アジャイルなリーダーは、変化が迫っていることを示し、変化の必要性を伝え、変化を成功させるための計画を立て、変化の過程を管理し、発生した問題に対処する。組織の変化の管理についての知識を持ち、転換の実装をシステム的な視点で観察する。

2 – 方法を知る、生涯学習を重視する

学習を促進する環境を作成する。チームメンバーが顧客サプライヤーとの関係を築くことを奨励し、他の世界観に触れさせる。リーンやアジャイルや最新の管理プラクティスでの新しい開発方法を学び理解しようと努力する。学習および改善のための公式/非公式のグループを作成し育成する。推奨文献リストの文献(「貢献者」のページの推奨文献リストを参照)やその他のテーマに関して貪欲に読書する。精選した文献を推薦し、関係性の非常に高いものについては読書会を開催する。

人が自身の問題を解決することを許容する。問題を特定し、根本原因を理解し、組織に受け入れられるソリューションを構築するのを手助けする。個人やチームが失敗をしたときに支援する(失敗しなければ学習はできない)。

3 – 人材を育成する

リーンなリーダーシップのスタイルを取り入れる。つまり、技術の専門家や作業調整者になることではなく、チームメンバーのスキルやキャリアパスを作り上げることを重視する。連帯して成功に責任を持つチームを作成する。人の能力を育成し、本気で取り組ませるようなやり方で、一緒に問題を解決する方法を学習する。人と文化を尊重する。

4 – 使命を吹き込みそれに沿って行動させる、制約を最小化する

使命とビジョンを与える(ただし具体的な作業要求は最低限にする)。やる気をなくすような方針や手続きは廃止する。価値を中心にアジャイルチームや列車を組織する。自己組織化および自己管理するチームの力を理解する。学習し、成長し、互いに影響を与えあうための安全な環境を作成する。価値のストリームごとの経済的枠組みを構築し、それを全員に教える。

5 – 意思決定を非中央集権化する

(詳しい説明は第9原則を参照のこと。)

意思決定フレームワークを確立する。使命を設定し、人材を育成し、問題解決方法を教育することで、権限を他人に委譲する。戦略的意思決定(頻度が低く、影響する期間が長く、スケールメリットが大きいもの)を行い、それを伝える責任を持つ。その他の意思決定はすべて非中央集権化する。

6 – ナレッジワーカーの内発的モチベーションを解き放つ

(詳しい説明は第8原則を参照のこと。)

知識労働のモチベーションを向上するために報酬が果たす役割を理解する。相互に影響しあう環境を作成する。内部での競争を引き起こすMBO(management by objectives:目標による管理)をすべて排除する。リーン-アジャイルの原則および価値をサポートできるよう人事考課を改訂する。目的と自治を与え、労働者の新スキル獲得やスキル向上を支援する。

開発管理者の役割

リーンかつアジャイルな開発の原則を具体化したSAFeでは、ほぼ自立した自己組織化する機能横断的なチームおよびアジャイルリリース列車の価値を重要視している。よりリーンな管理インフラをサポートしており、個人やチームへの権限委譲が促進されて、ローカルで素早く意思決定ができる。従来のように、従業員に日々指示を与えたり作業を指図する必要はなくなる。

ただし、どの従業員にも、キャリア開発を手助けし、期待と報酬の設定と管理を行い、技術や機能、個人やチームのスキルを向上しキャリア目標に向けて進むために必要な積極的なコーチングをしてくれる人が必要である。従業員には能力の高いチームの一員として働く権利もある。

また、自己組織化するARTであっても自分で財源を確保したり自分の使命を決めることはない。これは、戦略を実現するための要素であるため、今までどおり管理者の責任である。
このような責任の多くは、これまで開発管理者という従来の役割が担っていたもので、リーン-アジャイル開発を導入したからといってその責任がなくなるわけではない。しかし、SAFeでは、この新しい環境に適応し、そこで成長できる人が、その責任を担うことになる。

責任

システム開発の開発管理者(またはエンジニアリング管理者)は、先に説明したように、リーン-アジャイルなリーダーシップの原則とプラクティスを実施してみせる管理者である。さらに、この管理者は、直属の部下のコーチングとキャリア開発に個人的に責任を持ち、妨害を排除する責任を負い、すべてのナレッジワーカーの作業の場となるシステムを積極的に進化させる。効果的に価値を納品することについても最終的な責任を持つ。その責任を以下にまとめて示す。

人材とチームの育成

  • 能力の高い人を引き付け、雇用し、留まらせる。
  • 能力の高いチームを作成し、個人およびチームの使命および目的を制定する。
  • キャリアについてのカウンセリングと人材育成を行う。
  • チームが問題を特定したり、根本原因を分析したり、意思決定を行う際に、耳を傾け、サポートする。
  • 報酬、手当、昇進の規定と実施に関与する。
  • 妨害を排除し、リーン-アジャイル開発をサポートできるようシステムとプラクティスを進化させる。
  • チームへの人の割り当てを細かく制御する。チームでは取り除けない問題に対処し、必要であれば人事異動を行う。
  • (チームの入力を含む)能力を評価し、入力や指針を提供して是正処置を実施する。
  • アジャイルチームに対してアジャイルコーチやアドバイザーの役割を果たす。
  • 価値を付加でき、管理者として有能でいられる程度にチームの近くにいる。チーム自身に問題を解決させられるだけ遠くにいる。

プログラムの実施

連携

透明性

  • 常に現実が友好的である環境を作り上げる。
  • 個人やチームが自由に革新を起こしたり実験することができ、ときには失敗しても危険でない環境を提供する。
  • すべての利害関係者と率直かつ誠実にコミュニケーションする。
  • バックログや情報発信元が全員に完全に見えるようにする。
  • 社内の駆け引きより、価値の生産性、品質、透明性、開放性を優先する。

作り込んだ品質


さらに知りたい場合

[1] アジャイルソフトウェア開発宣言。 http://agilemanifesto.org/.

[2] Reinertsen, Donald. The Principles of Product Development Flow: Second Generation Lean Product Development. Celeritas Publishing, 2009.

[3] Rother, Mike. Toyota Kata: Managing People for Improvement, Adaptiveness, and Superior Results. McGraw-Hill, 2009.(邦訳:トヨタのカタ 驚異の業績を支える思考と行動のルーティン、日経BP社、2016)

[4] Liker, Jeffrey and Gary L. Convis. The Toyota Way to Lean Leadership: Achieving and Sustaining Excellence Through Leadership Development. McGraw-Hill, 2011.

Last update: 21 October 2015