Pre and Post PI Planning

リズムを適用し、ドメイン横断的な計画と同期する。

– SAFeのリーン-アジャイル第7原則

PI計画前/後ミーティングの概要

PI計画(同名のページを参照)とは、すべてのアジャイルリリース列車(ART)にとっての、非常に重要なリズムベースの同期ポイントである。複数のARTからなる価値のストリームでは、PI計画前/後ミーティングという2つの作業を追加で行う。このページではそれについて説明する。この追加の作業は、価値のストリームに関与するさまざまなARTをサポートし、連携させるためのものである。この上位レベルで計画を立てることで、ソリューション全体の構築を調和させ、次のプログラムインクリメント(PI)でソリューションがどこへ向かうかを指示し可視化することができる。

これらのミーティングのタイミングとアジェンダはソリューションコンテキストによって異なるが、通常はART計画セッションの直前と直後に行う。PI計画前ミーティングでは、来たるART PI計画セッションのコンテキストを設定する。価値のストリームの利害関係者は、その直後にART計画セッションにも参加する。一連のミーティングのうち最後のものはPI計画後ミーティングである。ここで、ART計画の結果を、今後のPIで対処する価値のストリーム目標やソリューションロードマップに統合する。

詳細

PI計画前/後ミーティングについて

PI計画前/後ミーティングを行うことで、大規模な価値のストリーム内のアジャイルリリース列車サプライヤーは、次のプログラムインクリメント(PI)に関する整合の取れた計画を作成することができる。PI計画前/後ミーティングは、革新と計画(IP)の反復カレンダーを見ると分かるように、プログラムレベル(実際の詳細な計画が実行される場所)におけるPI計画の最初と最後に行われる。PI計画前ミーティングでは、ART計画セッション用に、入力となる目標、主要なマイルストーンソリューションコンテキストおよびビジネス背景を調整する。PI計画後ミーティングでは、計画策定作業の結果を価値のストリームのビジョンおよびロードマップに統合する。PI計画後ミーティングが終わる時には、価値のストリームのどのPI目標をPIの終わりまでに実装し、次のソリューションデモでデモするかについての合意が得られていなければならない。PI計画の場合と同様に、PI計画前/後ミーティングは数え切れないほどのビジネス上の恩恵をもたらす。

  • 顔を合わせて連携することで高帯域幅のコミュニケーションを行うことができる。
  • ARTと価値のストリームのPI目標により、ARTと価値のストリームの整合を取ることができる。
  • 依存関係を特定し、ARTをまたがった連携を育成できる。
  • 「ちょうどいい量の」ソリューションレベルのアーキテクチャー(および必要であればユーザーエクスペリエンス)指針を示す機会となる
  • ソリューションの要望とARTの処理能力をつりあわせることができる。

このプロセスのもう1つの利点は、価値のストリーム全体でのチーム作りができることである。これにより、高いパフォーマンスを達成するために必要な社会構造を作成できる。さらに、既知のベロシティーに基づいて計画が策定されるため、PI計画後ミーティングは、WIPを継続的に評価したり必要に応じて過剰なWIPを取り除いたりするための重要なステップとなる。

PI計画前/後ミーティングの入力には、価値のストリームのロードマップ、ビジョン、ソリューションの意図、価値のストリームのバックログの最上位に含まれるシステム能力などがある。出席者は、顧客や、価値のストリームの利害関係者(価値ストリームエンジニアソリューション管理ソリューションアーキテクト/エンジニアリングソリューションシステムチームリリース管理)、すべてのARTおよびサプライヤーの代表者(通常はプロダクト管理システムアーキテクト/エンジニアリングリリース列車エンジニア、エンジニアリング管理者)である。出力には、次の3つの主要成果物が含まれる。

  1. その価値のストリームに関してまとめられた一連の「SMART」目標
  2. 価値のストリームの計画ボード(ソリューションについての目標、予定納品日、その他の関連マイルストーンが明示されたもの)
  3. 目標に対する自信の投票/確約

この「ローリングウェーブ計画」を繰り返し行うことで、ソリューションは、避けることのできない技術的な障害やビジネス/技術環境の紆余曲折を乗り越えることができる。

ソリューションデモでコンテキストを知る

価値のストリームにとってのソリューションデモは、ARTにとってのシステムデモと同じであり、完全に統合されたソリューションを評価する定期的な機会となる。これは、通常はソリューションエンジニアが主催し、価値のストリームの利害関係者(ソリューション管理や価値ストリームエンジニアなど)が参加する。このミーティングで得た知識から、これらの利害関係者は、ソリューションの進捗、パフォーマンス、使用適合性の見込みについて現時点での客観的な評価を知ることができる。ソリューションデモのタイミングは、価値のストリームやソリューションコンテキストによって異なるが、これはPI計画前/後ミーティングの重要なコンテキストとなる。

PI計画前/後ミーティングの準備

PI計画前/後ミーティングには価値のストリームのあらゆる部分から利害関係者が集まる。これらのミーティングでは、内容の準備、調整、伝達が必要である。後に示す実際のアジェンダとスケジュールはこれらのミーティングを運営するための1つの案だが、さまざまな価値のストリームが自身のシステム能力や場所にこの案を採用している。

実際のタイミングや物理的な設備の調整をどう行うかに関係なく、これらのミーティングのさまざまな要素は、列車やサプライヤーの間の本当の連携を達成するためになくてはならないものである。ビジョンとコンテキストを明確にし、適切な利害関係者が参加することが重要である。このミーティングには次の内容が含まれる。

  • 役員による概要説明 – 現在のビジネス、ソリューション、顧客のコンテキストを定義する。
  • 価値のストリームによるビジョンの概要説明 – ソリューション管理によって準備された概要説明。価値のストリームのバックログに含まれる上位システム能力を含む。
  • 今後のマイルストーンの明確な定義。

PI計画前ミーティングの計画コンテキストの設定

PI計画前ミーティングでは、ARTやサプライヤーが各自の計画を作成できるようにするためのコンテキストを設定する。個々のセッションについては後で説明するが、我々が提案している全体としてのアジェンダは図1のとおりである。

Figure 1. Example Pre-PI Planning meeting agenda
図1. PI計画前ミーティングのアジェンダの例

PI概要報告。 ARTおよびサプライヤーそれぞれが、前のPIで何を達成したかを簡単に報告する。これはソリューションデモの代わりになるものではないが、計画プロセスにとっては何が達成されたかのコンテキストとなる。

ビジネス背景とソリューションの環境。 上級役員が、価値のストリームとプログラムポートフォリオの現在の状態について簡単に説明する。ソリューション管理は、現在の価値のストリームのビジョンを説明し、前のPIからの変更点を明示する。また、この先3つのPIのロードマップや、その期間にあるマイルストーンを示し、それを認識して対処できるようにする。

価値のストリームのバックログ。ソリューション管理は、次のPIの上位システム能力をレビューする。ソリューションアーキテクト/エンジニアリングは、これからのイネイブラーシステム能力およびイネイブラーエピックについて話し合う。

次のPIのフィーチャー。各ARTのプロダクト管理は、次のPIのために準備したプログラムバックログを示し、他の列車との依存関係について話し合う。

価値のストリームの利害関係者がARTのPI計画に参加する

大規模な価値のストリームの計画セッションを実際に準備するのは大変であり、それが原因で価値のストリームの利害関係者が参加しづらくなることがある。しかし、ARTの主要利害関係者(特にソリューション管理、価値ストリームエンジニア(VSE)、ソリューションアーキテクト/エンジニアリングなど)はできるだけ多くのARTのPI計画セッションに可能な限り参加するべきである。多くの場合、各ARTの計画セッションはほとんどが同時に行われるため、価値のストリームの利害関係者はその期間に複数のARTのPI計画セッションを回って参加することになる。サプライヤーや顧客も重要な役割を果たすため、ARTのPI計画セッションに代表者を参加させるべきである。

PI計画後ミーティングで結果を要約する

PI計画後ミーティングはARTがそれぞれの計画セッションを実施した後で行われる。そこでは、ART間の同期が取られ、ソリューション全体の計画とロードマップが作成される。参加者は、価値のストリームおよび主要ARTの利害関係者などである。アジェンダの例を図2に示し、その後で詳細を説明する。

Figure 2. Example Post-PI Planning meeting agenda
図2. PI計画後ミーティングのアジェンダの例

PI計画の報告。 各ARTのプロダクト管理は、個々のPI計画ミーティングで作成された計画を紹介し、PI目標と、そのそれぞれがいつ使用可能になる予定かを説明する。RTEは、価値のストリームボードの自分たちのARTの行を埋め、他のARTまたはサプライヤーとの依存関係について話し合う。

計画のレビュー、リスク分析、自信の投票。 完成した計画を参加者全員でレビューする。ARTは、PI計画時に、目標の達成を妨げる可能性のある重要なリスクや妨害要因を特定している。グループ全員の前で、より広い価値のストリームのコンテキストにおいて、関連するリスクを検討する。リスクを1つずつ取り上げて以下のいずれかのグループに分類し、明確かつ正当で誰にも見えるような方法で対処する。

  • 解決済み – その問題に対する懸念がなくなったことにグループが合意する。
  • 引き受け済み – ミーティングの中では解決できないので、誰かが引き受けている。
  • 受容済み – 一部のリスクは、事実であるか起きる可能性のある事柄なので、理解して受け入れるしかない。
  • 軽減済み – 影響を軽減するための計画を特定することができる。

すべてのリスクの検討が済んだら、価値のストリームのPI目標を達成する自信があるかどうかを投票する。ここでは「5本指の投票」を行う。平均が3~4本であれば、管理者は確約を受け入れるべきである。平均が3本よりも少なければ、計画作業を調整して計画をやり直す。指2本以下で投票をした人には時間を与えて気になる点を述べてもらう。これはリスクのリストに追加される可能性がある。

計画のやり直し(必要であれば)。 必要であれば、確約に達するまで時間をかけて、計画策定をやり直す。この後にART内でのフォローアップミーティングを行うこともある。計画が変更されるとチームにも影響が及ぶからである。

計画策定作業の振り返り、次のステップ。 最後に、価値ストリームエンジニアの主導で簡単なミーティングの振り返りを行い、何がうまくいったか、何がうまくいかなかったか、次回に改善できることは何かを記録する。その後で、目標の記録、プロジェクト管理ツールの使用、今後の主要作業/イベントのスケジュールの確定など、次のステップについて話し合う。

正しい結果を作成する

イベントが成功すると、3つの主要成果物ができあがる。

  1. 価値のストリームの一連の「SMART」目標と、それに対してソリューション管理、ソリューションアーキテクト/エンジニアリング、顧客が設定したビジネス価値。これには背伸び目標(目標として計画に組み込まれているが、ソリューションによって確約はされていないもの)も含まれることがある。背伸び目標は、PI実施時の信頼性および品質を向上するのに必要な、処理能力とスコープを柔軟に管理するためのオプションとなる。
  2. 価値のストリームの計画ボード。プログラムボードから集約した、目標、予定納品日、その他の関連マイルストーンが明示されたもの。例を図3に示す。
  3. Figure 3. Example Value Stream board
    図3. 価値のストリームボードの例
  4. グループ全体による、目標についての自信の投票/確約。

その後、計画の対象となったPIの目標に基づいて、価値のストリームのロードマップが更新される。

 


Last update: 9 November 2015