チームレベル

人と仕事と知識は一体である。

─著者

チームレベルの概要

分けて説明されてはいるが、SAFeのチームレベルはプログラムレベルの一部である。SAFeのチームはすべて、プログラムレベルの中心構成要素であるアジャイルリリース列車(ART)の一部である。チームレベルでは、アジャイルチームが活動するための、組織、成果物、役割、プロセスのモデルを提供している。各アジャイルチームは、チームバックログに含まれるストーリーの定義、構築、テストを担当し、それを一連の固定期間の反復として実施する。このとき、反復のリズムを共通にし同期を取ることで、他のチームと足並みを揃え、システム全体として反復を行うことができる。チームはスクラムXPやチームカンバンを使用して、高品質のシステムを定期的に納品し、2週間に一度システムデモを行う。こうすることで確実に、ARTのさまざまなチームすべてが統合およびテストの済んだシステムを作成でき、それを利害関係者が評価して素早いフィードバックを返せるようになる。このシステムデモが定期的な「プルイベント」となって、各チームの作業が特定の時点に向かって引っ張られ、フェーズゲートモデルではライフサイクルの後期まで先延ばしにされることが多い統合やテストという困難な作業が前倒しされる。

詳細

チームレベルでは、アジャイルチームアジャイルリリース列車(ART)にどのように動力を供給するかを説明する。アジャイルチームは、SAFeのスクラムXPまたはチームカンバンを使用し、品質の作り込みのプラクティスを適用して最終製品の品質を向上する。各チームは5~9人のチームメンバーから構成され(スクラムXP)、反復ごとに質の高い価値のインクリメントを構築するのに必要なすべての役割が含まれる。スクラムXPの役割には、スクラムマスタープロダクトオーナー、専任の個々の担当者のほか、チームが価値を納品するために必要な特別な能力を持った人などがある。チームカンバンでは役割はそれほど明確に定義されていないが、多くのSAFeカンバンチームでは、スクラムXPの役割を実際に置いている。

各チームは、リリース列車エンジニアプロダクト管理システムアーキテクト/エンジニアリングシステムチーム共有サービス担当DevOpsなど、必要に応じてプログラムレベルの人材からサポートを受ける。その結果、システムの定義、開発、テストを行い、(少なくとも)反復ごとに1回、動くテスト済みのシステムを納品できる能力を、チームが完全に備えることになる。

プログラムインクリメントと反復

各チームは、反復の境界とプログラムインクリメント(PI)の境界の両方に関して、反復の開始/終了日と期間を共有し、そこでART内の他のチームとの同期や統合を行うことができる。各PIの最初に、チームはPI計画ミーティングに参加し、そこでチームのPI目標を作成して、それを指針として反復を実施する(チームのPI目標を集めたものがプログラムのPI目標となる)。

チームは、合意した反復のゴールに沿って、2週間という固定期間の反復を計画し実施する。各反復では新機能の価値のあるインクリメントを作成するが、これは、反復の計画を立てる、機能を確約する、反復を実施する(トーリー構築テストする)、新機能をデモする、振り返りを行う、という一連のパターンを反復ごとに常に繰り返すことで達成する。各反復の終了時に、チームは、ARTにとって重要な統合ポイントであるシステムデモのサポートも行う。さらに上位の、複数のARTを含む価値のストリームの場合、チームはソリューションデモのサポートも行う。このデモでは、複数のARTの作成したソリューションすべてが集められ、全体として統合およびテストが行われる。

イノベーションと計画策定(IP)の反復は、チームが調査やイノベーションを行う機会であり、計画や振り返り、公式/非公式の経路を通じた学習などのために確保された時間である。また、PI境界でリリースを行う場合には、ここで最終的なシステムの検証、妥当性確認、ドキュメント作成を行う。バッファとして使用できるようIP反復にはストーリーを割り当てず、各PIの稼働率が100%にならないように計画を立てる。こうすることで、フローとスループットと納品の信頼性が向上する。

PIという時間枠を使用して、システム全体にまたがる規模の大きな機能を、価値のある評価可能なプログラムインクリメントにまとめることができる。この機能は、PI境界でリリースすることも、もっと頻繁にリリースすることもできる。プログラムは、リズムに基づき開発し、随時リリースするべきである。

1つのPI内の反復の回数

SAFeでは、開発のスケジュールをPI内の一連の反復に分割する。ビッグピクチャーには、PIがPI計画セッションで始まり、その後に4つの実行反復が続き、最後に1つのイノベーションと計画策定の反復が行われる様子が描かれている。このパターンは、参考にはなるが必ずしもこうである必要はなく、1つのPI内でいくつの反復を行うかについての固定の規則はない。経験から言うと、PIの期間は8~12週間にするのが最もよく機能し、その中でも最も短い期間が使われる傾向がある。

ストーリーとチームバックログ

チームはストーリーを利用して価値を納品し、プロダクトオーナーはストーリーの作成と受け入れについて内容に関する権限を持つ。顧客の要求は、ストーリーとして価値のストリームを通って実装される。チームバックログはユーザーストーリーとイネイブラーストーリーから構成されるが、ストーリーの大半は、PI計画セッションでプロダクト管理がビジョンロードマッププログラムバックログを提示したときに識別される。ストーリーを識別し、優先順位を付け、スケジュールを決め、推敲し、実装し、テストし、受け入れるというのが、チームレベルで行われる主要な要求管理プロセスである。


さらに知りたい場合

[1] Leffingwell, Dean.Agile Software Requirements:Lean Requirements Practices for Teams, Programs, and the Enterprise.Addison-Wesley, 2011.(邦訳:アジャイルソフトウェア要求:チーム、プログラム、企業のためのリーンな要求プラクティス、翔泳社、2014)

 

Last update 19 October 2015